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税関・管制官だけじゃない!航空業界を支える公務員のお仕事 - 航空業界専門の求人サイト「航空人WEB」

税関・管制官だけじゃない!航空業界を支える公務員のお仕事

 

このページでは、お仕事図鑑「公務員(管制官・税関等)」では紹介しきれていない各公務員についてをピックアップ!空港で活躍しているさまざまな公務員について知るきっかけにしてほしい。

 

※年刊ムック「航空業界就職ガイドブック2021」(2019年12月5日発売)より転載。

 

航空業界を支える公務員一覧:

税関職員
入国審査官
入国警備官
検疫官
食品衛生監視員
家畜防疫官
植物防疫官
航空局職員
地方整備局職員
気象庁職員
航空管制官

 

税関職員

日本の玄関で社会悪物品等の密輸出入を水際で阻止

 

税関のもっとも重要な役割のひとつが、水際での密輸出入の取り締りだ。覚醒剤や拳銃等の社会悪物品や、偽ブランド商品などの知的財産権侵害物品、野生動植物保護のためのワシントン条約該当物品など、日本に持ち込みが規制されているものの密輸を水際で阻止している。

 

また、貿易の円滑化や関税、消費税等の適正・公平な徴収も重要な仕事だ。海外から輸入される品物は、税関に申告し必要な検査を受け、関税等を納付して許可を受けなければならない。税関は、これらが適正に行われているか確認を行う。 海外旅行者の手みやげも対象になる。

 

空港では、入国旅客に対し、日本への持ち込みが規制されているものはないか、税金がかかるものはないかなど、携帯品別送品申告書とパスポートを確認しながら質問や検査を行う。

 

税関職員になるには

 

税関職員になるためには、まずは人事院が行う国家公務員採用試験の一般職または総合職に合格することが必須。その上で希望する税関の採用試験(面接)を受け、合格する必要がある。

 

税関職員の採用の詳細については、税関ホームページの採用案内を確認すること。

 

なお、税関は空港だけでなく港湾にもあるため、必ずしも空港に配属されるとは限らないということも頭に入れておこう。関税法全般から知的財産権、ワシントン条約、不正薬物に関する知識など、税関職員が学ぶべきことは多岐にわたる。さらに語学力も必要だ。入省後もさまざまなことに興味を持ち、勉強や知識の習得に自ら取り組める人が向いているだろう。

 

 

入国審査官

出国・入国審査場で不法な出入国を防ぐ

 

一般的に入国審査官とは、国際空港の出国/入国審査場で、日本人や外国人が出入国する際にパスポートや査証(ビザ)が有効かどうかなどを審査するのがおもな業務だ。なかにはパスポートの真偽チェックを行う業務もある。

 

入国審査官は、パスポート、査証(ビザ)をチェックするだけでなく、観光と偽って不法就労しようとする外国人や、過去に刑罰法令に違反した外国人の入国(上陸)を防ぐという任務も担っている。他にも、関係機関と連携して国際指名手配されている者の入国(上陸)を阻止することもある。

 

入国審査官になるには

 

入国審査官になるためには、まずは人事院が主催する国家公務員試験(総合職または一般職)を受験する。合格者は各地方入国管理局の面接を経て、入国管理局職員として採用される。入省当初は「法務事務官」として採用され、勤務経験を経た後、入国審査官の業務を担当する。

 

日本人旅行者のみならず、海外からの渡航者と接する機会が多いので、入国審査官は英語や中国語、スペイン語などさまざまな語学習得に前向きであることが望ましい。また、渡航書類や簡単な質疑応答から入国目的に疑わしい点がないか判断するため、素早い判断力や洞察力、冷静さも必要だ。

 

 

入国警備官

入管法違反者の調査・収容・送還を行う

 

入国審査官の役割が日本に入国させてもよいかどうかの判断にあるのに対し、入国警備官の仕事は自ら得た情報や一般の人から寄せられた情報に基づき、入管法に違反している疑いのある外国人を調査、収容、送還することである。

 

入国警備官は警察と同じく治安を守る「公安職」で、業務内容は違反調査、摘発、収容、送還など多岐にわたる。具体的には、法律に違反している外国人を発見した場合に身柄を拘束し、調査したり、摘発により身柄を拘束された外国人等を地方入国管理局に設置された収容施設に収容したり、これら施設の警備をすることもある。

 

さらに、入国審査官による違反審査の結果、退去強制と決定された外国人を国籍国へ送還する手続をするのも入国警備官の仕事である。

 

入国警備官になるには

 

公安職である入国警備官になるには、「入国警備官採用試験」を受ける。試験を受けるには、法務省のウェブサイトからインターネット申し込みをするか、法務省に問い合わせて申込用紙を請求しよう。

 

入国警備官は、早朝や深夜に業務を行うことや摘発により身柄を拘束することもあるので、体力と機敏な動き、そして状況に応じた判断力が求められる仕事だ。

 

 

検疫官

旅行者を介して国内に感染症や病原体が侵入するのを防ぐ

 

世間を騒がせた新型インフルエンザ流行時に、ニュースで白衣に身を包んだ職員が空港で旅行者を調べる様子を見たことがある人もいるだろう。このように、国内に常在しない感染症が侵入しないよう、旅行者をチェックするのが検疫官だ。

 

チェックは旅行者の自己申告、サーモグラフィーによる体温確認、検疫官の目視などによるもので、いずれの調査も、感染症にかかっている人を必要に応じて検査・隔離・停留・健康監視するなどの措置を行うことで、病原菌を国内に持ち込ませないようにするためのものだ。検疫官が所属するのは厚生労働省管轄下の検疫所。

 

検疫官になるには 

 

実際の検疫業務にあたるのは、検疫医療専門職(医師)および看護職(看護師)など既に医療免許を取得している人から採用される「厚生労働技官」。他方、検疫所で事務職や検疫業務に携わる職員は、国家公務員一般職で採用で採用された事務官。なお、検疫所は全国の港湾や空港にあるので、必ずしも空港勤務になるとは限らない。

 

 

食品衛生監視員

食品の安全性を確保するため輸入食品を検査・監視する

 

検疫官が人間の健康や衛生面を扱うのに対し、食品衛生監視員が扱う対象は、海外からの輸入食品。検疫官と同じく全国の主要空港や港の検疫所に配備される。輸入食品の安全監視と指導にあたり、輸入食品等に関わる衛生上の審査を行い、日本の食品衛生法に適合したものであるかを調べて、輸入食品の安全性を確保している。食の安全に関心が高まる現在、重要な役割を担う仕事だ。

 

食品衛生監視員になるには

 

食品衛生監視員になるためには国家公務員試験の専門職試験である「食品衛生監視員採用試験」に合格しなければならない。また、前提として受験資格には大学で薬学、畜産学、水産学または農芸化学の専門教育を修了した人、あるいは養成施設で所定の課程を修了した人が挙げられる。

 

試験内容は文章理解や数的推理などの基礎能力試験と、食品衛生監視員として必要な専門知識が問われる専門試験の2部構成となっている。

 

 

家畜防疫官

動物の病気が国内侵入するのを水際で防止

 

検疫とは港湾や空港にて、海外から持ち込まれた、もしくは海外へ持ち出す畜産物や植物が、病原体や有害物質に汚染されているおそれがないかどうかを確認することだ。

 

植物を対象とし検疫するのが植物防疫官で、動物を対象とする検疫官が家畜防疫官だ。空港の動物検疫カウンターで、旅行者が持ち込む肉製品など畜産物の検疫を行うほか、飼い主とともに渡航するペットの検疫を行い、狂犬病など動物の病気が侵入するのを防いでいる。

 

家畜防疫官の中の検疫探知犬ハンドラーと呼ばれる職員は、探知犬を使い手荷物の中から動物検疫の検査を必要とする肉製品等を検査している。海外のいくつかの国でも導入されており、日本では2005年12月に成田国際空港で初めて導入。以後、羽田、中部、関西、新千歳、福岡、那覇などの主要国際空港でも行われるようになった。

 

家畜防疫官になるには

 

家畜防疫官は農林水産省に所属する国家公務員。家畜防疫官になるためには、まずは専門の畜産技術系職員(国家公務員一般職に相当)または獣医系技術職員(国家公務員総合職に相当)の採用試験を受験する。大学・短大で獣医学や畜産を勉強するのが近道だ。

 

なお、主に生体動物の検査に携わる獣医系技術職員になるには獣医師免許は必要だが、畜産物の検疫に主に携わる畜産技術系職員になるには獣医師免許は不要。また、動物検疫所では国家公務員一般職に相当する事務系職員を募集することもある。

 

 

植物防疫官

植物の病気や害虫の侵入をシャットアウト

 

植物防疫官は、病害虫の被害から日本の農業や緑を守る仕事だ。貨物、郵便物や旅客の携行品によって海外から輸入される果物や野菜、切り花、球根、種子、苗などの植物に病害虫が付いていないか検査する業務を「輸入検疫」という。

 

また、諸外国でも植物検疫を実施しているため、日本から植物などを輸出する場合は、輸出相手国が行っている植物検疫の条件に適合した植物かどうか検査する「輸出検疫」、国内の病害虫のまん延を防ぐため、ジャガイモおよび主要な果樹苗木の検査などを行う「国内検疫」もある。植物防疫所は全国の主要空港や港等に設置されている。

 

植物防疫官になるには

 

植物防疫官になるためには、まずは人事院が主催する国家公務員採用試験の一般職(「農学」または「化学」区分)を受験する。合格者は、植物防疫所(農林水産省)が実施する採用面接を受け、合格すれば採用される。そして、植物防疫所の職員になってから、約1年の現場経験の後に受験する植物防疫官試験に合格する必要がある。植物防疫所の採用の詳細については、植物防疫所ホームページの採用案内を確認すること。

 

植物防疫官は、専門知識や技術だけでなく、コミュニケーション能力も必要だ。輸入検疫では、旅客に検査の協力を依頼したり、輸入禁止品を持ち込んだ旅客には廃棄してもらうよう説明する際は、相手に分かりやすく丁寧に伝えることが重要だからだ。

 

 

航空局職員

航空事業を発展させ、路線開設や運賃設定も担当

 

国土交通省航空局の任務は、航空運送事業が公平に行われ、国民にとって利便性の高い航空輸送サービスを実現すること。おもな役割は、①現在日本全国90か所以上にある空港をより効率的に利用できるように運営方針を立てる「空港の整備」、②航空機や備品等の検査や、各航空会社の運航・整備体制をチェックする「航空交通の安全確保」、③航空会社への路線開設の許可や、運賃の許可などの航空運送事業を管理する「利用者利便の向上と航空運送事業の発展」の3つ。航空大学校でパイロットを養成するのも役割のひとつだ。

 

航空局職員になるには

 

航空局職員として働くには、まずは人事院が主催する国家公務員採用試験(総合職または一般職)を受験する。合格者は国土交通省が実施する面接を受け、合格すれば採用される。

 

 

地方整備局職員

地域発展の一環として空港の建設・整備を担当

 

実際に空港の建設や整備を行うのは地方整備局。2010年10月31日に国際線ターミナルがオープンした羽田空港の再拡張事業を展開したのは、関東地方整備局の港湾空港部だ。空港の整備とは、航空局の計画をもとにさらにどのような空港がその地域にふさわしいかを調査し、設計、民間業者へ施工を依頼、建設の現場に立ち会うこと。地方整備局は空港以外にも、国民が快適な生活を送れるように、道路や河川、住宅などの整備も担当している。

 

地方整備局職員になるには

 

地方整備局で働くには、国家公務員総合職か一般職採用試験を受験する。総合職は国交省本省勤務が多く、地方整備局に配属されるとは限らない。地方整備局は全国8か所の地区ごとにウェブサイトを持っており、それぞれに採用情報も紹介されている。

 

 

気象庁職員

空港で気象観測を行い安全運航をサポート

 

航空機の運航状況には気象が大きく関わっている。そこで、国土交通省の外局である気象庁では、全国各地の空港に航空地方気象台や航空測候所などを設置し、気象観測を行っている。これら観測や予報の情報を、航空機の安全運航に影響をおよぼす可能性等を含めて航空管制機関、運航管理者、パイロットに提供している。

 

気象庁職員になるには

 

国家公務員総合職か一般職採用試験を受験する、または気象大学校(高卒程度)を受験する、の2つの方法がある。総合職を採用する試験区分は、主に「工学」、「数理科学・物理・地球科学」であり、一般職を採用する試験区分は、主に「物理」および「行政」(事務系)である。現場の観測業務を志望する場合は、国家公務員総合職か一般職を受験しよう。なお、気象庁職員の採用試験を受けるのに気象予報士の資格は必要ない。

 

気象大学校は気象庁の幹部候補生を養成するための学校で、授業料は無料、かつ給料が支給される。4年間の専門教育を受けたのち、気象庁または全国の気象台に配属される。

 

予報は膨大な気象データを読み解き、現在の大気の状態を把握することからはじまる。このため、情報分析が得意で筋道を立てて考えることができる人や、自然現象に興味を持って、一つの事象の原因と結果をコツコツと調べられる人、探究心がある人がふさわしいだろう。

 

 

航空管制官

離着陸する航空機や遙か上空を飛行する航空機をレーダーなどで監視して無線でパイロットに的確な指示を出す「航空管制官」は、航空機の安全運航に欠かすことのできない航空保安職員だ。

 

航空管制官は航空交通の秩序と空の安全を守っている空の司令塔として、高度な専門知識と経験が大切な「職人」的な職種で、全国の空港や所沢や札幌、神戸、福岡の航空交通管制部などで働いている。その主な仕事内容は次のように分かれている。

 

・飛行場管制業務…空港の管制塔のガラス張りのVFRルームから目視で航空機を捉えて離着陸の許可や地上走行経路の指示を出す。

・ターミナル・レーダー管制業務…空港の管制塔のIFRルームでレーダーにより航空機を捉えて離陸した航空機と着陸進入する航空機に進路や高度、スピードなどの指示を出して交通整理を行う。

・航空路管制業務…航空交通管制部のレーダールームで日本の高い空域に設けられている航空路を飛行する航空機を監視し、航空機に対して飛行経路や高度の指示を出すとともに、航空機側からの高度変更や進路変更のリクエストに対応する。

 

これらの航空管制業務は国土交通省航空局と自衛隊が行っており、国土交通省航空局には航空機の運航に関する許可や空港の運用、安全管理を行っている「航空管制運航情報官」、航空管制業務に不可欠なレーダーや情報処理装置などの航空保安システム、航空保安無線施設などの運用、管理、メンテナンスを行っている「航空管制技術官」も活躍している。

 

航空管制官になるには

 

国土交通省航空局の航空管制官になるには、毎年6月に第1次試験が実施される「航空管制官採用試験(大卒程度)」に合格することが大前提となる。受験資格は大卒もしくは短大、高等専門学校卒業以上で、概ね21歳から30歳までの人が受験できる。採用試験は第1次試験が筆記の基礎能力試験、聞き取りと筆記の外国語試験、筆記の適性試験、第2次試験が面接による外国語試験と人物試験、そして第3次試験が適性試験と身体検査、身体測定が行われる。採用人数は2019年度は約105名だったが、2020年度では約35名となり、年によってかなりのばらつきがある。2019年度の合格倍率は約8.7倍だった。

 

この採用試験に合格して国土交通省に採用されると、大阪府泉佐野市にある航空保安大学校専修科で実施される8か月間の基礎研修を受けて全国の空港など配置される。その後は全国の現場を移りながら資格の幅を広げていくので、転勤は避けて通ることができない。

 

なお、自衛隊の航空管制官は入隊後に本人の適性や希望などを考慮して航空管制要員に配属されてから専門教育を受けて航空管制の現場に配属される。防衛大臣が設置・官理する千歳や小松、米子、徳島の各空港は自衛隊と民間の供用空港で、航空・海上自衛隊が航空管制業務を行っている。

 

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サイズ:A5判

ページ数:112ページ

定価:1390円(税込)

 

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