国内エアラインのグランドスタッフ採用事情
空港でANAやJALの制服を着ているグランドスタッフを見ると、航空会社が直接採用しているように思うかもしれないが、ほとんどの人は航空会社ではない会社が採用したスタッフ。グランドスタッフになりたい人が注目すべきポイントは、どの空港でどの会社のグランドスタッフとして働きたいか、という点だ。ここでは、グランドスタッフを採用する会社をグループ分けし、採用規模の大きな順に紹介しよう。
まずは「旅客ハンドリング会社」。旅客ハンドリング会社とは、空港での旅客サービスを専門に行う会社のこと。成田国際空港、羽田空港、関西国際空港、新千歳空港、中部国際空港、福岡空港など、大きな都市の空港には必ず旅客ハンドリング会社があり、各社でグランドスタッフを採用している。例えば、JALグループのJALスカイ(羽田・成田)、JALスカイ大阪(伊丹)、JALスカイ九州(福岡・熊本・大分・宮崎・長崎)などや、独立系のCKTS㈱(関西・羽田)、空港ターミナルサービス㈱(成田)などがある。
なお、ANAグループでは旅客ハンドリングとグランドハンドリングの両方の業務を担当する「空港地上支援会社」が、グランドスタッフとグランドハンドリングスタッフの両方を採用している。各空港に旅客ハンドリング会社とグランドハンドリング会社を別々に設立しているJALグループとの大きな違いだ。
旅客ハンドリング会社以外の採用
では、旅客ハンドリング会社のない規模の小さな地方空港ではどの会社がグランドスタッフを採用しているのか。この場合は、「総代理店」と呼ばれる、航空会社から業務を請け負い、支店機能を代行している会社が採用している。総代理店は、バスや鉄道などの運輸系の会社、旅行代理店、空港ビル会社などの場合が多い。受託業務は旅客ハンドリングだけでなく、貨物ハンドリング、航空機の地上支援など、空港の仕事をまとめて受けている会社もある。数十人単位で毎年採用がある都市空港のグランドスタッフとは違って、地方空港では採用される人数も限られるため、欠員補充のみなど定期的に採用しない会社や、縁故採用のみ、というケースも。また、総代理店は、ひとつの会社が複数の航空会社の業務を請け負っている場合もあり、必ずしも希望する航空会社の担当になれるとは限らない。
なお、ANAやJAL以外の日本の航空会社、つまりスカイマークやエア・ドゥ、ソラシドエアなどでは、自社でグランドスタッフを採用している。エア・ドゥは新千歳と羽田、スカイマークは全国就航地ごとに採用しているので、地方空港で働きたい人はこうした会社にチャレンジするのもいいだろう。