2014年にスリランカ出身のシャーンタ ウィクラマシンハ社長が創業。スリランカ航空のGSAとして事業を開始、さらに同年、日本支社を閉鎖したエジプト航空のGSAにも指名され事業を拡大した。2022年1月からは新規就航したバンブーエアウェイズの業務も担当。
Photo by Yoshioka Atsushi Text by AIRLINE
月刊エアライン2023年3月号(1月30日発売)より転載
「スリランカ航空の成田線には日本語を話せるクルーが1名乗務しており、IFEにも日本語コンテンツを用意。コロンボ発の機内食にはスリランカのカレーを、成田発はすき焼きをご提供しています。フレンドリーな雰囲気も魅力です」と担当している航空会社の飛行機模型の前でほがらかに答える八角さん。
GSA(=日本総代理店)という役割
弊社は2014年からスリランカ航空とエジプト航空、そして2022年1月からはベトナムから新規就航したバンブーエアウェイズのGSA業務を担当しており、日本に支社を置いていない外国航空会社に対して、国土交通省への認可手続きや空港側との調整、旅行会社などへのセールス活動、航空券の予約や発券、日本発着時の諸業務を提供しています。
それらは日本支社として行なう業務とまったく同じで、さらに1社だけではなく複数の航空会社を扱うGSAならば、より幅広い業務を経験できると考え、2017年に日系航空会社のグランドスタッフから転職しました。初めて経験する予約端末の取り扱いなどには苦労しましたが、成田空港のカウンターで担当航空会社の代表としてスーパーバイズ業務に就く際には、前職で培った経験を活かすことができます。
また、旅行会社さんなどに対し、その航空会社の利用者を増やすための営業活動を行なうこともGSAの仕事です。たとえば私が主に担当するスリランカ航空の場合、スリランカを前面に押し出したツアーの商品化を働きかけるなど、日本からスリランカへの渡航者を増やしていただけるよう旅の魅力をPRします。スリランカは8か所の世界遺産があることで知られていますが、非常に親日的な国民性ですし、また食事のカレーをとってみても、隣国のインドとは異なる文化を持つ個性ゆたかな国です。島の南側ではウミガメに会えるスポットもあり、そうした世界遺産に留まらない新たな魅力をアピールして営業を行なっています。
2018年には旅行会社さんとスリランカのPRイベントを企画したことも、印象に残っている仕事です。スリランカ航空の本社とも調整をしながら、インフルエンサーの方に実際に現地へ飛んでいただきSNS経由のPRも同時展開したことで、このイベントをきっかけにしたツアー造成にもつなげることができました。
コロナ禍からの回復
新型コロナウイルスが拡大した2020年には、スリランカ大使館からの依頼を受けて、1,000人規模にもなる日本からの帰国希望者への対応を担当。一方では貨物需要の高まりによって成田線を週2便から3便へと増便するなど、大きな変化がありました。
日本路線のお客さまの回復が顕著になったのは2022年7月頃からで、コロンボを経由してモルディブへ飛ぶお客さまを皮切りに需要が戻ってきました。スリランカへのお客さまも少しずつ増えている印象で、ネパールやインド、パキスタン方面への乗り継ぎ需要と合わせて、12月には満席になる便もあるほどでした。
GSAで活躍する、将来の目標
国土交通省への運賃・路線の申請、空港会社とのスロット・使用機材の調整など、航空機の運航では、関係機関との間で多数の手続き業務が発生します。たとえば2022年、スリランカが経済危機に見舞われた際には、コロンボで成田までの飛行に必要な燃料を給油することができず、途中インドのチェンナイに寄港して給油するルートへと変更しました。そうした運航の計画も、すべて国土交通省に申請して認可を得る必要があります。各種の手続きでは「日本における運航のルール」を本社との間で共有することを心がけています。編集後記
GSA(=日本総代理店)というと、日本支社を持たない外国航空会社の業務を、どこか「簡易的に」サポートしている存在と思っていた方が多いかもしれない。しかし八角さんは、「外国航空会社の日本支社と同じ業務」を行ない、しかもそうした業務を「複数の航空会社」に提供することが、GSAで働く醍醐味と語っていた。もちろん航空会社が違えば路線もサービスも、何もかもが違う。一つの会社にいながら、複数の航空会社のプロフェッショナルであること。そこにGSAの仕事の特徴と魅力があることを知った。
今回お話をうかがった方
株式会社
レジェンドリーグス
旅客営業部
八角 萌子さん
英語を使った仕事を志望し、大学卒業後は日系大手のグランドスタッフとして成田空港に勤務。レジェンドリーグス入社は2017年で、主にスリランカ航空に関わる営業を担当してきた。グランドスタッフ時代の経験を活かして、スーパーバイザーとして空港業務に就くこともある。大学時代はカナダへの留学経験あり。
【プライベート】
休日は趣味のフラダンスのレッスン、そしてショッピングやグルメを堪能。仕事モードとはしっかり気分を切り替える。
【座右の銘】
嬉しいこと、辛いこと、何事にも意味がある。グランドスタッフとして新卒入社した際には、業務に必要な知識を叩き込まれた。それが今の仕事にも生きている。