ドイツ・ライプツィヒから成田空港へと乗り入れるアエロロジックの777F。今月は同社の「日本代表事務所」という立場から、広範な業務で運航をサポートする川平さんのお仕事を拝見した。各種チャーター機やビジネスジェットなど、決して貨物専門ではなく、様々な飛来機と向きあう職場だ。
photos & text by Murata Takayuki
月刊エアライン2022年12月号(10月28日発売)より転載
アエロロジックのスーパーバイザー業務では積荷の状態、梱包や封印に至るまで、マニュアルの通りに、くまなくチェックしていた。イレギュラー発生時は調整役としてドイツ本社とのやり取りも担当する。
Q:まず入社のきっかけから教えてください。
中学、高校の頃から自動車やバイクといった乗り物や機械が好きでした。高校卒業後の進路を決めるという時に、航空機整備の専門学校の募集を見て、その道に進みました。卒業後は航空燃料を扱う会社に就職しましたが、その後、プライベートジェットのグランドハンドリングを行なっているインターアビエーション・ジャパン(IAJ)のことを知り、プライベートジェットという未知の世界に興味が湧いたこと、またグランドハンドリングという仕事にも携わってみたいと思ったことが入社のきっかけです。
Q:空港では、どのような仕事を担当されているのでしょうか。
IAJ はドイツの貨物航空会社、アエロロジックの日本代表事務所という役割も担っており、成田空港などでスーパーバイザー業務を担当しています。貨物の搭降載はグランドハンドリングの専門会社が担当し、私たちは主に国土交通省など関係省庁へ提出する書類の作成や空港との発着枠調整業務、また空港ランプエリアでの監督業務や貨物のチェックを行なっています。イレギュラー発生時における本国への報告や現場での調整もIAJの担当業務です。Q:海外の航空会社と接する仕事ですが、注意している点や難しさを教えてください。
アエロロジックはドイツの企業なので、日本と同様、規定にはかなり厳格です。貨物の搭載方法から貨物室でULDをロックする操作方法まで詳細な指示があるので、入念にチェックしています。また、貨物の搭降載により機体の高さが変化することから、クルーが乗り降りするステップ車の位置や高さ、機体のタイヤ前後に置くチョークの間隔に至るまでマニュアルに詳しく記載されています。スーパーバイザー業務を担当するには資格が必要ですが、私の時はドイツから講習のためにトレーナーが来日しました。研修を受け、筆記や実技の試験に合格してから、やっと独り立ちとなります。グランドハンドリング全般の監督も川平さんの仕事。カーゴドアの開閉、ロック状態の確認は言うまでもなく、機体全体や周囲の状況にも細かく気を配る。タイヤ止めの間隔までセンチ単位で指定があるという。
Q:IAJの強みは何でしょうか。そして、川平さんの今後の目標を聞かせてください。
例えば、私の入社後に開催されたサミットや即位の礼では、各国のVIP が来日する際の航空機の対応も行ないました。プライベート機の場合、スケジュールも頻繁に変更が発生するので、そうした調整が必要になりますし、外務省や大使館、警備などとの細かいやり取りも入念に行ないます。そういった業務を経験できるのもIAJならではだと思いますし、個人的にもとても印象に残っている仕事です。編集後記
近年、注目を集める航空貨物。旅客便とは異なり、我々がそこで働く人たちの職場を見る機会は少ない。昨今では貨物の大小を問わず、早く確実な輸送が可能だが、川平さんの仕事を拝見して、その入念かつ丁寧な仕事が運航を支えているのだと実感した。また貨物便に限らず、プライベートジェットやチャーター便への対応も行なっていると聞き、運航サポートのプロ集団であるインターアビエーション・ジャパンという企業に興味を持った。
今回お話をうかがった方
インターアビエーション・ジャパン株式会社
GAハンドリング課
スーパーバイザー
川平涼也さん
1993年生まれ。航空専門学校を卒業後、航空燃料を扱う会社に入社し、羽田空港や関西空港の事業所に勤務。2019年8月にIAJ(インターアビエーション・ジャパン)に入社し、現在は定期貨物便のスーパーバイザー業務やチャーター機などの運航サポート業務を幅広く担当している。
【リフレッシュ方法】
成田へ、羽田へと空港間の移動が多い仕事ですし、出張も頻繁なので、休日は家で映画を見るなどして、のんびりと過ごすことが多いです。旅行も好きで以前はよく出掛けていましたが、コロナ禍で縁遠くなってしまいました。休みはしっかり取れる職場なので、そろそろ旅行を再開したいです。