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新中央航空株式会社 ⻆田 知穂さん - 航空業界専門の求人サイト「航空人WEB」

新中央航空株式会社 ⻆田 知穂さん

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調布飛行場から伊豆諸島の四島へと路線を展開する新中央航空。

今回ご登場いただくのは、運航部の⻆田 知穂さん。

島の人々の生活を支える不可欠なインフラとしての路線特性と、島しょ部特有の気象特性の狭間で、時に難しい状況分析が求めれる運行管理者の業務。こうした局面においても笑顔で運航乗務員を送り出し、凛とした仕事で信頼される存在でありたいと、⻆田さんは語る。

photographs and text by Fukazawa Akira

月刊エアライン2021年7月号(5月28日発売)より転載

tsunodasan疎通に誤解や勘違いが生じないよう、コミュニケーションひとつひとつに気を配る
※撮影時のみマスク、ビニールカーテンを外しています

Q:仕事内容を教えてください

 新中央航空は調布飛行場から伊豆諸島の離島である大島、新島、神津島、三宅島の4路線をドルニエ228-212NGで結ぶ航空会社です。

 私は調布の基地から、気象情報や航空情報に基づいて便ごとにフライトプランを作成したり、パイロットや整備士、各島の担当者と諸々の調整を行なう運航管理の仕事をしています。シフトや季節によって変わりますが、朝7時前には出社してその日1日の天候やNOTAMをチェック、8時前から行なうショーアップ・ブリーフィングに備えます。また、悪天候や夏のゲリラ豪雨が予想される場合には、運航乗務員が最終的に運航可否を判断するための情報を読めない中からも読みとって提供できるように準備を行ないます。

Q:この仕事を志したきっかけはなんですか?

 空を眺めたり自然に触れることが好きで気象に興味があり、大学では気象学を学びました。同じ大学で航空宇宙を専攻していた先輩が運航管理の仕事で航空会社への採用が決まったことで、「航空業界でも気象の知識を活かせる職種があるんだ」と知り、初めてこの世界を意識しました。ちょうどJALグループで大分空港勤務の運航管理職の採用枠があり応募し、採用後は運航管理と旅客サービスを経験、その後も別会社ではありますが鹿児島空港でJALグループの運航管理の仕事に就きました。結婚と出産を経て運航管理の職を離れていましたが、新中央航空で採用がありご縁をいただいて現在に至っています。

 運航管理者の仕事は、入社後に実務を1年以上経験しないと国家試験を受けることができません。こうした期間は自らの学びも当然大事ですが、諸先輩から教えを受けて知識を身に付け色々な経験も積みました。

tsunodasanかけがえのない家族との旅行がなによりのリフレッシュ。新中央航空の就航地でもある神津島での思い出の一枚

Q:日頃どういったことを心がけて業務に取り組んでいますか?

 運航乗務員や整備士、営業、各島の担当者とやりとりする中で意思疎通に誤解や勘違いがないように、丁寧なコミュニケーションを取るように努めています。

 運航管理の業務においては特に夏場は気温の上下動により航空機の必要離陸距離や重量制限が変わってきますので、常に細心の注意を払ってモニターしています。また、夕立ちや豪雨が予想される場合は、調布出発時には晴天でも到着地の気象により欠航の決断をしなければならない状況もあります。万が一、島に航空機を残してしまうと、翌日整備士を派遣するまで出発できないなど、翌日の運航にまで影響が残ってしまうので注意が必要です。そのような厳しい気象状況の中で出発してゆく場合でも、運航乗務員を笑顔で気持ち良く送り出すことを心がけています。

Q:今後の目標を教えてください

 これまで先輩方からいろいろと教えていただき、私なりに培うことができた航空の知識や経験、人としての振る舞いなどを後輩に繋いでいきたいと思うようになってきました。

 また、毎日が変化の連続で人の命を預かる責任ある仕事です。気象条件を含めたイレギュラー時の運航には地上からの情報が不可決で、そうした状況下でも運航乗務員から「⻆田がこう言っているのだから大丈夫だ」と、絶対的な安心感を持って信頼してもらえる存在になることです。冬季の西風などは想像を絶する強さで、運航乗務員は自動操縦装置が備わらない機体の操縦桿を握りしめて手動操縦で飛んでいます。決して無理はないように、しかし運航できる条件であれば「行きましょう!」と凛として言えるように努めていきます。

Q:航空業界を目指す学生さんへ

 大変な状況にありますが、「願えば叶う」と信じて、航空業界でこういう仕事をしたいと強く思って努力を続けることが大事だと思います。例え遠回りをしたとしても、すべてを自分の糧にして人間としての厚みや引き出しを増やしてゆく。人間力を高めるために何かに夢中に取り組んでほしいです。強く願えば道は拓けてくると信じて、頑張ってください。

編集後記

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 終始自然体で仕事や日常のこと、将来について語ってくれた⻆田さん。カメラを向けると飾らない素敵な笑顔を見せてくれた。

 運航管理者は日々安全に運航を続けるエアラインにとって、そして操縦桿を握る運航乗務員にとって欠かせない存在。ブリーフィングでは引き締まった表情で天気概況などを伝えていた。空が好きで気象学を学んだ学生時代には川の土手で空を眺めながら昼寝をしてしまうこともあったそうだ。「肩の力が抜けている人は強い」とはよく言うが、⻆田さんも人としての真の強さを持ち、凛とした生き方をされているのだろうと感じた。

今回お話をうかがった方

新中央航空株式会社
運航部 運航管理課
係長/運航管理者
⻆田 知穂さん

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大学では気象学を学び、卒業後はJALグループ2社にて運航管理に従事。2013年1月、新中央航空に入社し運航管理の業務に就く。元気いっぱい素敵な笑顔で、運航乗務員からの信頼も厚い。

 

【リフレッシュ方法】

休みが取れたときの家族旅行です。いつかフィンランドのオーロラをみんなで見に行きたいと思っています。日常のリフレッシュは家族ぐるみで付き合いのある人たちと過ごすティータイムです。

 

【座右の銘】

ケセラセラ

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