航空灯火のプロフェッショナル集団を抱えるNAAファシリティーズ。
今回ご登場いただくのは、航空照明部の一戸はるみさん。
7年間の現場勤務で培った経験を活かし、管理業務として成田国際空港株式会社(NAA)と航空灯火の現場をつなぐパイプ役を担っている。成田空港の灯りを24時間365日体制で守り続ける「光の番人」たちを支える仕事だ。
photographs by Fukazawa Akira text by AIRLINE
月刊エアライン2019年9月号(7月30日発売)より転載
プライベートでも規則正しく並んでいる電気が切れていると気になって仕方ないという一戸さん。航空照明部の職業病なんだとか
Q:仕事内容と1日のスケジュールを教えてください
NAAファシリティーズ(以下NAFCO)は、成田国際空港における空港施設の保守管理を行なっていて、私の所属する航空照明部は航空灯火の保守点検を受け持っています。24時間体制で対応しているため現場はシフト勤務ですが、今は管理業務なので決まった勤務時間で働いています。
仕事内容としては、メンテナンスやメーカー保守点検を円滑に実施するために関係各所との事前調整を行なっています。また、同じような障害が頻発した際には航空灯火の運用データから原因を分析。問題解決に向けてメーカーと合同で調査・試行し、改修までを調整します。
さらに、現場の状態をCADで図面におこす業務もあります。一見単純なように思えますが、この図面がなければ現場での作業は不可能なため、とても重要な業務です。現場に変更があった際は随時修正し、常に最新の状態を保っています。
Q:この仕事を志したきっかけはなんですか?
高校の頃から戦闘機が好きで、航空業界に興味を持ちました。一時は航空自衛隊も考えたのですが、入隊したからといって戦闘機に関わることができるとは限らず、全く関係のない部署に配属されたら続けられないかもしれない、だったら専門的な職業に就いて空港で働きたいな、と思いました。
その後千歳の航空専門学校に進学し、求人の中に航空灯火保守点検というものを発見。その職種自体珍しく、面白いものがあるな、という気持ちで入社を決めました。
出身は青森県。航空灯火の仕事に惹かれ、ピンポイントで成田空港への就職を決めた一戸さん。NAFCOでも珍しい存在だ
Q:日頃どういったことを心がけて業務に取り組んでいますか?
業務は迅速に。その日できることはその日のうちに済ませるようにしています。NAAと現場の間に入ることが多く、自分の仕事にたくさんの人が関わってくるため、迅速さは常に心がけています。元からの性格的なものもありますが、期限が迫ってくると考えがまとまらなくなったりといいことがないので、早目に着手し、余裕をもって取り組めるよう心がけています。
Q:今後の目標を教えてください
現在はまだ検討段階ですが、NAFCOとして、新技術を導入することで空港と航空機の安全運航に寄与したいという目標があります。
例えば障害の発生を予測し、対策を講じることでイレギュラーを未然に防ぐなどの前衛的な保全をしていきたいと考えています。
また個人としても、現場で培ってきた知識や経験を管理業務の中で最大限に活かしていきたい思います。現場の施工状態や環境を踏まえたうえで、より効果的なメンテナンスや保守点検の提案をしていけるようになりたいですね。
パソコンのデスクトップやデスクまわりの小物にお気に入りのE‐767早期警戒管制機を配置。仕事のモチベーションアップにつながっている
Q:航空業界を目指す学生さんへ
航空業界というと一般的にエアラインを思い浮かべる方が多いかと思います。しかし、航空業界には当然ながら多種多様な業種があり、そのほとんどはあまり知られていません。最初から目標をひとつに定めることも大切ですが、視野を広くして様々な情報収集をすることも重要だと思います。せっかく就職しても、辞めることになってしまうのは残念なことです。自分とあった職種、興味の持てる職種を見つけることができれば、入社後も長く続けられると思います。
この仕事に就いて、はじめて滑走路に入った時のことを今でもよく覚えています。航空灯火は明るさも調整できるのですが、実際にやってみるとこんなに明るくなるんだなと感動しました。規則正しく並んでいる航空灯火。一般の人はそれを間近で見ることはできません。すごい所へ来たなと思いました。
学生の皆さんも、色々なものを広い目で見ることにより、長く続けられるものが見つかるのではないでしょうか。
今回お話をうかがった方
株式会社NAAファシリティーズ
航空照明部 航空照明課
一戸(いちのへ) はるみさん
日本航空専門学校卒業。2010年4月に新卒で株式会社NAAファシリティーズに入社。航空照明課所属。7年間現場でシフト勤務の後、2017年からは同課の管理業務にあたる。
【リフレッシュ方法】
リンパマッサージでデスクワークで凝りがちな身体をメンテナンス。日常的にフライトシューティングゲームをやり込んでいる。休日は空港関係の友人同士で都内に飲みに出るのも楽しみのひとつ。
【座右の銘】
「無駄な経験はない」
うまくいかないことがあっても、これからに活かせることができればその経験は無駄にはならない。再度同じ場面に直面したとしても、次は乗り越えられると思います。