富士山静岡空港株式会社　仁科 光平さん - 航空業界専門の求人サイト「航空人WEB」

空港運用ユニットのオフィスからは滑走路を見渡すことができる。晴れた日には、窓の外に壮麗な富士山の姿が一望できる

Q：仕事内容と1日のスケジュールを教えてください

　私が所属する空港運用部の空港運用ユニットでは、主に飛行場面管理を行なっています。ランウェイチェックや、航空機の駐機スポットの割り当て、制限区域立入等に係る許認可業務などが主な仕事です。個人のユーザーや外国籍の航空機が飛来した際には、その運航計画に応じて適切なスポットをアサインします。

　また、バードストライクなど、航空機にイレギュラーな事態が起こった際に、真っ先に初動の対応をとらなければならない部署でもあります。

　基本的には3班体制で業務にあたっていますが、イレギュラー時には迅速な判断が求められるため、緊張感を持って日々の業務に取り組んでいます。

座右の銘は「百聞は一見に如かず」。例えば「航空法第〇条による」という文言があれば実際に航空法の項目を引いて確かめてみる。体で覚えたことは知識として定着しやすいと仁科さん

Q：この仕事を志したきっかけはなんですか？

　「GOOD LUCK」というドラマを見て、まずパイロットに憧れました。学生時代は航空工学を専攻。航空業界への就職と同時にUターン就職も希望していたため、地元静岡県内唯一の空港である富士山静岡空港への就職を決めました。

Q：日頃どういったことを心がけて業務に取り組んでいますか？

　我々は判断することが多い部署です。例えば、航空機事故が発生した時の初動対応や緊急を要する航空機受け入れに際してのスポット割り当てなど、常に迅速かつ的確な判断が求められます。いざという時、明確な方向性を示さなければならないがゆえに、普段から準備や勉強をしています。

　さらに、我々の仕事は航空機の安全運航、ひいては航空機に搭乗する人々の命と密に関わっています。例えば鳥の追い払いにしても、大きさや当たり所にもよりますが、鳥1羽で人の命に関わる重大事故も起き得ます。静岡空港は鳥類の追払いに最も効果があるとされている「バードパトロール方式」を導入しているものの、航空会社からは「さらに改善できないか」という声も上がっていました。そこで、今までの爆音機や銃器での追い払いのほかに、鳥の嫌がる音波を出す装置を実験的に設置しています。これは空港周辺が危険な場所であると鳥に学習させる効果が期待できます。こうしたプラスアルファの試みも、効果があれば積極的に取り入れていきたいと考えています。航空業界においても人手不足は大きな問題なので、人手がかからずに効果が出るというのはとても有益なことです。今回の「鳥駆逐装置」は、その先駆けとなれればいいと思います。

着陸帯に設置された鳥駆逐装置。試験導入ではあるが、結果次第では増設も検討する

Q：今後の目標を教えてください

　今の職種を極めたいと考えています。民営化された空港では、飛行場運用を航空局からの出向で賄っているところもありますが、静岡空港は自分たちで行なっています。

　航空機の安全には「成田だから」「静岡だから」といった差があってはなりません。日本国内、はたまた世界規模で常に一定の安全レベルを担保する必要があります。そのためには、我々も航空局や航空会社の人たちと対等に話ができないといけない。もっともっと勉強して、この仕事を極めたいですね。

Q：航空業界を目指す学生さんへ

　かつての私もそうだったように、航空業界というと、パイロットやCAなどのいわゆる花形の職種をイメージしがちです。しかし、実際に働いてみると分かりますが、一口に航空業界といっても、多種多様な仕事があります。若い頃に航空業界の他の職種を知っていれば、もしかしたらそちらの道に進んでいたかもしれないという思いもあります。とにかく広い業界なので、しっかりと職業研究をしたうえで、自分は本当に何がしたいのか、自分に適性のある職種はどこか、という点を考えてみてほしいですね。

今回お話をうかがった方

• 富士山静岡空港株式会社のHPはこちら