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東京都立産業技術高等専門学校 今田 雅也准教授 - 航空業界専門の求人サイト「航空人WEB」

東京都立産業技術高等専門学校 今田 雅也准教授

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ものづくりのエキスパートを育成する東京都立産業技術高等専門学校。2016年に新設された「航空技術者育成プログラム」では、やる気に溢れた少数精鋭の学生たちが日々航空整備士等を目指して奮闘中だ。

今回ご登場いただくのは、今田雅也准教授。

長年勤めあげた航空局での経験を活かし、学生たちに技術と勇気を伝授している。

photographs by Fukazawa Akira

月刊エアライン2019年12月号(10月30日発売)より転載

imadasan授業に効果的な素材や機器探しに余念がない今田先生。学生の熱意とともに授業を作り上げていく楽しみもあるという

Q:東京都立産業技術高等学校について教えてください

 学校名のとおり、東京都立産業技術高等学校は、首都東京の産業振興や課題解決に貢献するものづくりスペシャリストの育成を目的としています。

 品川に4コース、荒川に4コースそれぞれ専門コースを設置。コース選択制で自分に適した専門分野選びが可能です。

 その中でも私は「航空宇宙工学コース」と、2016年からスタートした「航空技術者育成プログラム」を担当しています。このプログラムは、航空宇宙工学コースの中から各学年8名程度の学生を選抜し、実践的な航空技術を学習するものです。

Q:仕事内容と1日のスケジュールを教えてください

 1日2~6コマの授業を実施し、授業時間外は「航空技術者育成プログラム」の授業を進めるために必要な実習教材・機器を製作しています。

 夏休み中は、プログラムの夏季集中講義として1日6コマの授業を5週間実施しています。

jissyuukan実習館では「航空技術者育成プログラム」の3期生たちが実機を使った実技授業を受けていた。中学卒業後、5年間の課程でエンジニアの道を目指す高専。見学会や体験入学も実施されている

Q:この仕事を志したきっかけはなんですか?

 子どもの頃に福岡の基地祭で父に撮ってもらった写真をよく眺めていました。ノーズランディングギアの前に立っている写真ですが、自分の身長よりも大きなタイヤを装備した飛行機をすごいなと感じていました。

 そして高校の頃、初めて旅客機に乗る機会を得ました。離陸滑走を始めたDC-9の加速度を体感した瞬間、航空機に関わる仕事をしたいと強く思いました。

Q:日頃どういったことを心がけて業務に取り組んでいますか?

 まず第一に「机上の学問にならないように」と心がけています。教えるのではなく、学生が自ら考えるように仕向ける。座学だけでは覚えられないので、実技を合わせながら学んでいきます。お互いの考えをぶつけ合い、それぞれの役目をこなせるようになると協調性が生まれます。技術者にとって、協調性はとても大切なものです。

 次に、自分の行動に不確かな部分がある時、間違った時にキッチリ正す気持ちも養う必要があります。例えば航空機のエンジンがスタートした後に整備用品がひとつなくなっていることに気づいた時、パイロットに伝えられなければなりません。こうした間違いを正す勇気も必要です。

 さらに、実践的な英語能力を身につけるため、実際のマニュアルとテキストを効果的に使い分けています。最終的には、大きな航空会社で訓練を受けようと思った時、すぐに理解・実践ができることを目指しています。

syoukoukei授業でも大活躍する昇降計。ポンプと組み合わせて実際に飛んでいる際の動作を再現することも可能。座学ではピンとこない事象も、実技を組み合わせることで学生の理解につながる

Q:今後の目標を教えてください

 学校としては、将来の航空業界で活躍できる技術者を育成するために国土交通省航空局の指定養成にかかる内容も視野に入れながら、シラバス内容の組立を検討しています。ただし、まずはどこにおいても通用する基礎力および自ら考える習慣、さらには洞察力や協調性を身につけさせることを中心に、一歩一歩進めていきたいと考えています。

Q:航空業界を目指す学生さんへ

 航空業界に携わる人間というのは、航空機に乗っている人だけでなく、地上で暮らしている人の命も預かっています。

 「勇気を持つ」。これは言い換えると、「嘘をつかない」「うやむやにしない」ということでもあります。作業でミスをしたかも、忘れたかも、と気づいた時、運航を止めてでも再確認をしたいと言い出す勇気を持ってもらいたいと思います。

 でも、厳しいことばかりではありませんよ。最先端の技術に触れ、学べる喜びは何事にも代えがたいものです。やりがいと、自分のプライドをくすぐるような面がある。楽しいことも多いよ、と伝えたいですね。

 

今回お話をうかがった方

公立大学法人首都大学東京
東京都立産業技術高等専門学校
ものづくり工学科 航空宇宙工学コース 航空技術者育成プログラム主担当
今田 雅也准教授

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運輸省(現国土交通省)に航空の専門職として入省。同省において飛行検査官や航空従事者試験官を歴任し、2017年退職。同年4月から現職。

 

【リフレッシュ方法】

頭と体がアンバランスだと疲れるため、そういう時こそ活動します。本屋に行ってネタ探しをしたり、次の授業で使えるものを考えるとリフレッシュになります。

 

【座右の銘】

“Be gentleman !” 「紳士たれ」

クラーク博士が札幌農学校(現北海道大学)の教頭就任時に、従来の規則の撤廃を宣言し、代わりに定めた校則。自分で責任をもって業務を遂行しなければならない環境において、自分を律するためのシンプルかつ重い言葉だと思います。

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