2020年で創立50周年を迎える中日本航空専門学校。2019年には航空整備科 二等航空整備士コース(飛行機タービン専攻)が日本で初めてタービン小型飛行機の航空従事者養成施設に指定された。
今回ご登場いただくのは、同コースの林勇輝先生。
母校からはばたく未来の航空整備士のため、「技術者たる前に良き人間たれ」という建学の精神のもと、日々の教育に熱意を持って取り組んでいる。
写真:深澤 明
月刊エアライン2020年4月号(2月29日発売)より転載
実は学生時代、就職を決める時期にCNAから教員の打診を受けていた林先生。当時は実際の整備現場を知りたい気持ちや、自ら整備して安全な飛行機を飛ばしたいという気持ちが強く辞退したが、満を持して母校に教員として帰ってきた
Q.中日本航空専門学校について教えてください。
中日本航空専門学校(CNA)は、航空系の総合専門学校です。パイロットや航空管制を除いた、航空系の多くの職業に直結する知見と技術の基礎をしっかりと身につけることができます。
本校は、航空専門学校の中でも航空業界への人材輩出数においてトップクラスです。「技術者たる前に良き人間たれ」の建学の精神のもと、社会人としても立派に成長できるよう、人格形成の教育にも力を入れています。
航空整備科と航空生産科は3年課程、エアポートサービス科は2年課程のカリキュラムです。
Q.仕事内容と1日のスケジュールを教えてください。
航空整備科 二等航空整備士コース 飛行機タービン専攻を受け持ち、大型機にも使用されているタービンエンジンを装備した小型飛行機、ビーチクラフトA36の機体システムに関する教育に従事しています。現在は2、3年生が主な担当学年です。実際の機体を使用しての座学と実習を通して、航空整備士に必要な知見と技術を身につける授業を展開しています。
また、指定養成施設教育管理課では、学生のコース選択に関する業務や出欠席の管理、学生が航空整備士の資格を取得する際の国土交通省への申請業務を担当。航空整備士という取得までの道のりが険しい資格に挑戦する学生を、事務業務の面からもサポートしています。
授業スケジュールによって1限から4限まで1日授業をする日もあります。授業のない時は、機体管理や教育管理課の事務業務を行なっています。
Q.この仕事を志したきっかけはなんですか?
学生時代に旅行で飛行機に搭乗するまで、航空整備士のような仕事があることも知りませんでした。ドラマ「GOOD LUCK!!」で柴咲コウさんが航空整備士だったこと、CNAのオープンキャンパスに参加した際、ある先生にこの業界について熱心に説明していただいたことがきっかけで航空整備士を志すようになりました。
3年間この学校で学んだ後、大型機の整備の一端を担いたいとエンジン整備会社で検査業務に従事。その後、CNAから声をかけてもらう機会に恵まれ、母校に戻りました。今は未来の航空業界を担う若者を送り出す仕事にやりがいを感じています。
「学生時代にお世話になった学校への恩返しを、お世話になった多くの先生方とこれからも一緒になって取り組んでいけることは私の喜びです」
Q.日頃どういったことを心がけて業務に取り組んでいますか?
「学生のために、学校のために」をモットーにしています。
18歳を過ぎたばかりの若者が、自分の憧れを明確な目標に変え、それを実現するために岐阜県に集い、多くの時間を勉強にあてています。大学全入のこの時代に、大学ではなく航空業界への近道である本校に来てコツコツ勉学に取り組む姿に応援を惜しみません。同時に送り出した家族の気持ちも保護者会などを通してしっかりと受け止め、大切にしながら業務にあたっています。
Q.今後の目標を教えてください。
本校は今年創立50周年を迎えます。時代がどんどん変化していく中で、そのニーズにあわせて本校も変化してきました。今後も航空機や空港サービスの変化を敏感にキャッチし、航空業界のニーズを適切にとらえたうえで、変わる部分と変えてはならない部分をしっかりと見つめながら、学生の将来に有益な教育を提供していきたいですね。
また、他の教職員の皆さんとこの仕事にかける熱意を共有し、これからも学生のため、社会のために役立てるような学校を築いていくことが目標です。
Q.航空業界を目指す学生さんへ
グローバル化が進む現在、航空業界は人の移動や物流を支える、なくてはならない業界です。この業界には様々な仕事があり、ひとりひとりの仕事が世の中を動かしています。そのどれもが誰でも簡単になれる職業ではなく、知見、技術、おもてなしの心が必要とされるプロの世界です。あなたの仕事に対する夢や憧れをしっかりと将来の仕事につなげるために、様々なカリキュラムと熱い思いでお待ちしています。
☆Pick Up 林さんがいつも必ず持ち歩いているもの☆
2019年3月、CNAは日本で初めて二等航空整備士(飛行機タービン)の航空従事者養成施設に指定された。この時、国家試験に挑み見事全員合格した一期生は、林先生が入学時から担任を務めた学生たち。
受験の数か月前に福岡県太宰府天満宮へ参拝した際のお守りを見ると、当時の苦労や達成感を思い出すという。
今回お話をうかがった方
中日本航空専門学校
航空整備科 二等航空整備士コース
飛行機タービン専攻 講師
林 勇輝さん
2008年3月、中日本航空専門学校 航空整備科卒業後、2008年4月にJALエンジンテクノロジー(現 JALエンジニアリング)入社。その後、2015年11月にCNAに入職し、現在に至る。
【リフレッシュ方法】
休日はランニングでしっかりと汗をかいてリフレッシュしています。考え事がある時も、走りながらだと頭がすっきりしてアイデアが浮かびます。前職の時にはフルマラソンの大会にも多く出場し、東京マラソンも走りました。ベストタイムは3時間13分です。
【座右の銘】
「誠実」
教員という仕事は、学生に様々な面で少なからず影響を与えるもの。何かを伝え、大人としての姿を見せるには何よりも信頼関係が重要です。人としてどのようなことが大切か、言葉ではなく、誠実に仕事に向き合う姿によって示すことができたらと考えています。